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更新日:2024年09月10日
デット・ファイナンスとは、企業や個人が金融機関や投資家から融資を受けたり、債券を発行して資金を調達することを指します。エクイティ・ファイナンスとは対照的に、デット・ファイナンスは負債を増やすことで資金を獲得します。これにより、資金提供者(債権者)は元本返済と一定の利息収入を期待し、借り手(債務者)はその資金を利用して事業を拡大したり、運転資本を確保します。主に2種類があり、銀行融資は金融機関から直接借入を行う方法です。銀行融資は短期や長期の資金調達に使用され、公募債や私募債、転換社債などがあります。例えば、企業が市場で債券を発行し、投資家から資金を調達する方法は多様な形態があり、公募債、私募債、転換社債などがあります。
デット・ファイナンスは資本コストが低く、所有権の希薄化がないという特徴があります。エクイティ・ファイナンスと異なり、企業の所有権が希薄化せず、支払利息が多くの国で税務上控除可能な経費となるため、課税所得を減少させ税負担を軽減します。また、利子支払いや元本返済のスケジュールが明示されているため、キャッシュフローの予測がしやすくなり、これにより、企業はより精緻な資金計画を立てやすくなります。ただ一方で、返済義務と担保の提供が求められることが多く、これにより財務レバレッジが増加し財務リスクが高まります。特に高額の負債を抱えると、経済的ショックや業績不振が発生した際に企業の財務状態が急速に悪化するリスクがあります。また、多くのデット・ファイナンスの契約には制約条件(コベナンツ)が付加されるため、企業の資産流動性が下がり、柔軟な資産運用が制限される可能性があります。例えば、一定の財務指標を維持することを義務付けたり特定の経営行動を制限したりするなど、経営の自由度が制約される場合もあります。
主要なデット・ファイナンスの手法には、銀行融資、社債発行、転換社債、商業手形(コマーシャル・ペーパー)、シンジケートローンがあります。銀行融資は企業に対して短期、中期、長期の融資を提供し、社債発行は大規模な資金調達手段として利用されます。商業手形は短期の資金調達手段として広く使用され、複数の金融機関が共同して一つの融資を提供するシンジケートローンは大規模なプロジェクトや高額な資本支出が必要な場合に利用されます。この手法による資金調達の影響は多岐にわたります。バランスシート上で負債として計上されることで負債比率(Debt-to-Equity Ratio)が上昇し、損益計算書上で利息支払額が金融費用として計上され、キャッシュフロー計算書では、借入金の受け取りや返済が特定の項目として分類されます。多くのデット・ファイナンス契約には、特定の財務指標を維持するためのコベナンツ(制約条件)が包含されています。EBITDA(未計利息・税金・償却前利益)対負債比率やインタレストカバレッジ比率などが含まれ、これらのコベナンツを遵守することは重要です。違反が発生した場合には即時返済を求められるリスクがありますが、その一方で迅速に資金調達が可能であり税制上のメリットも享受できます。返済義務やコベナンツの遵守などの制約を持ちながら企業はバランスを取りつつ、智能な資金調達戦略を策定する必要があります。