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更新日:2024年10月10日
セイの法則(Say’s Law)は、古典派経済学においてその重要性が広く認識されています。これは19世紀のフランスの経済学者ジャン=バティスト・セイ(Jean-Baptiste Say)によって提唱され、経済理論の一つとして語り継がれてきました。セイの法則は一言で言えば、「供給が自ら需要を創造する」という基本的な考え方を示しています。具体的には、経済活動において商品やサービスの供給が行われると、その供給によって得られた収入が他の商品の需要を生み出すという意味です。セイの法則は、経済が自律的に均衡を保つ可能性を示唆しており、経済のさまざまな側面で価値のある考え方とされています。
セイの法則に関する要点はいくつかあります。まず一つ目が供給主義です。生産が経済の原動力であり、供給された商品やサービスは最終的にどこかで需要を見つけるという考え方です。これは生産が需要を喚起する根本的な役割を持つことを強調しています。次に市場の自律性です。市場は自ら均衡を探し出し、供給過剰や需要不足といった問題は長期的には自然に解消されると考えられています。この理論は市場の力学に対する根本的な信頼を基盤としています。そして最後に通貨の役割です。セイの法則の原理において、通貨は単なる交換の媒体に過ぎず、供給と需要の調整を妨げることはないとされています。これにより、通貨の流通が市場の均衡を乱すことはないとされるのです。
しかし、セイの法則には批判も存在します。特にケインズ経済学の視点からは、需要が供給を決定すると主張されます。ジョン・メイナード・ケインズは「一般理論」において、需要の側の要因が経済成長において重要であると強調し、特に不況期には需要不足が問題になることを指摘しました。ケインズの理論は、経済の需要サイドに焦点を当て、政府の介入や積極財政政策が必要になる状況を論じます。この視点から、セイの法則が持つ限界を浮き彫りにしています。現代の経済学では、経済活動が自律的に均衡を保つというセイの法則の考え方を尊重しつつも、より複雑な需要と供給の相互作用を考慮し、現実の経済状況に応じた対策が必要とされています。