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- バローの等価定理 (中立命題)
更新日:2024年10月10日
バローの等価定理(Barro’s equivalence theorem)またはリカードの等価定理(Ricardian equivalence theorem)と呼ばれるこの理論は、経済学におけるマクロ経済学および財政政策の分野で重要な命題です。この定理は、政府の歳入政策の選択が経済全体に及ぼす影響について言及しており、政府が提供する公共サービスの量や質が一定である場合、その財源の調達方法が経済に与える影響が論じられます。具体的には、政府が税金を使ってそれを賄うか、国債を発行して賄うかの違いが問われます。この定理は政府の歳入政策の選択が経済全体に及ぼす影響について言及し、政府支出とその財源の調達方法、および消費者の行動に焦点を当てています。
消費者は合理的であり、自身の生涯を通じた予算制約を意識しています。このため、将来の税金負担を見越して消費を調整します。例えば、政府が借金をすることによって現行の税金が減少しても、将来それを返済するための税金増加が予期されるため消費者は現在の消費を増やさないと仮定されます。つまり、政府が現在の支出を国債で賄ったとしても、その国債は将来の税金で返済される必要があります。従って国債発行は事実上、将来の増税と同等であるとの理論です。消費者は将来の税負担を考慮するため、現在の消費パターンが変わらず、経済全体の総需要にも大きな影響を与えないとされています。この理論は消費者の行動が財政政策の形態に中立であることを示しています。
まとめるとバローの等価定理は、政府が現在の税収で支出を賄うか国債によって支出を賄うかによって、消費者の消費パターンや経済全体の総需要に大きな影響を与えない、というものです。しかし、この理論が現実の社会において完全に成立するためには、消費者が完全に合理的であり、完全な市場情報を持つことなど数々の前提条件が満たされる必要があります。現実にはこのような条件はしばしば満たされないため、リカードの等価定理が適用される範囲には制約があるとされています。また、政府の財政政策が経済全体に与える影響は複雑であり、多くの要因が関与するため、この理論がすべての状況に適用されるわけではありません。それでもなお、バローの等価定理は経済学における重要な概念であり、政府の財政政策を考える際の一つの指針となる理論です。