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更新日:2024年10月10日
データフロー図(DFD: Data Flow Diagram)は、ビジネス・経営情報システムの設計において非常に重要なツールであり、システム内でデータがどう流れ、処理されるかを視覚的に表現します。特にシステムの要件定義や理解を深める際に役立ちます。DFDは主にプロセス、データストア、データフロー、外部エンティティという4つの基本要素で成り立っています。プロセスはデータの入力受け取りから変換を経て出力を生成する動作を示し、システムの中心的な役割を果たします。楕円や円で描かれるプロセスは、システムの機能を示す要素で、内部にはプロセス名や識別子が記載されます。データストアはシステム内で保存されるデータを示し、持続的にデータを格納する場所、つまりデータベースやファイルシステムなどを指します。長方形の一部を切り取った形で描かれ、データストア名や識別子が記載されます。データフローはプロセス間やプロセスとデータストア間、プロセスと外部エンティティ間のデータ送受信を示し、矢印で描かれます。矢印にはデータの内容を示すラベルがつき、データの流れる方向も矢印で示します。外部エンティティはシステム外部の要素、つまりシステムとやり取りを行う外部ユーザーや他のシステムを示し、長方形で描かれ、内部にエンティティ名が記載されます。
DFDは一般的に階層化した構造を持ち、システム全体の高レベルな概観から詳細部分まで段階的に分解されます。この階層化により、システムの複雑さを理解しやすくなります。特にコンテキスト図、レベル0 DFD、レベル1 DFDという三段階の詳細化が行われます。コンテキスト図はシステム全体を一つのプロセスとして表現し、外部エンティティとのデータやり取りを示してシステムの境界を明確にします。レベル0 DFDはコンテキスト図をさらに詳細化し、システム内の主要なサブシステムやプロセスを示します。レベル1 DFDはレベル0の各プロセスをさらに詳細化し、各プロセス内でのデータフローを示します。必要に応じて、さらに詳細に分解できます。DFDの利点として、視覚的理解、要件定義、コミュニケーション、問題発見と改善が挙げられます。視覚的理解では、システムのデータフローが視覚的に表現されるため、システムの動きを直感的に理解しやすくなります。要件定義では、DFDを使ってシステムの要件を明確に定義し、曖昧さや誤解を減少させ、正確なシステム設計を支援します。コミュニケーションの面でも、DFDは技術的背景の少ないビジネスユーザーとも効果的に意思疎通を図れるため、全体像の共通認識を持つことができます。問題の発見と改善については、システム実装前にDFDを作成することで、データフローやプロセスの問題点を事前に発見し、改善策を講じることで後々のシステム修正コストを削減できます。
DFD作成にはいくつかのステップがあります。まず、システム全体の目的や要求仕様を理解し、関係者から情報を収集します。次に、コンテキスト図を描き、システムの範囲やインタフェースを明確にします。システムをいくつかの主要プロセスに分割してレベル0 DFDを作成し、さらに詳細なレベル1 DFDや必要に応じてレベル2、レベル3まで詳細化します。最後に、作成したDFDを関係者と共有し、フィードバックを基にレビューと改訂を行います。DFD作成の注意点として、各レベル間の一貫性を保つことが重要です。上位図に示されたデータフローやプロセスが下位図でも正確に反映されていることを確認します。適切な詳細度の維持も重要で、過度に詳細にしすぎると複雑さが増してしまいます。また、最新の情報を反映するためにDFDも随時更新する必要があり、これを怠ると実際のシステムと乖離してしまいます。最後に、DFD作成ツールの選択も重要です。Microsoft Visio、Lucidchart、draw.ioなどのツールを使うと、より見やすく編集可能なDFDを作成できます。これにより、システムの全体像が効率的に把握でき、その結果としてシステム開発の成功に大きく寄与します。