E-R図

更新日:2024年10月20日

E-R図の基本

E-R図(エンティティ・リレーションシップ図)は、データベース設計の初期段階で非常に重要な役割を果たす図の一種です。データベースを設計する際の第一歩として用いられ、エンティティ(データの対象となるもの)とそれらの間のリレーションシップ(関係)を視覚的に表現します。この視覚的表現は、データベースの構造をより簡潔に、直感的に理解する手助けをします。その構成要素と特徴について詳しく見ていきましょう。

エンティティ、属性、リレーションシップ

エンティティは、データベース内で管理したいオブジェクトや概念を指し、例えば「顧客」や「注文」がこれに該当します。エンティティは長方形で表現されます。また、エンティティが持つ具体的な情報や性質を表現するのが属性と呼ばれるもので、例として「顧客」のエンティティには「名前」や「住所」といった属性が含まれます。属性は楕円で表現され、エンティティに接続されます。さらに、リレーションシップは複数のエンティティ間の関連性を示すもので、例えば「顧客」と「注文」の関係がこれにあたります。リレーションシップは菱形で表現され、それぞれのエンティティに接続されます。この構造を用いることで、データ間の関連性を容易に把握できます。

カーディナリティとモデリング例

リレーションシップにおいて特に重要なのがカーディナリティです。カーディナリティはリレーションシップに参加するエンティティの数を示し、1対多や多対多などの関係性を表します。例えば「1対多」の関係では、1人の顧客が複数の注文を行うことができますが、1つの注文は1人の顧客にしか属さないといった形です。この関係はリレーションシップ線の両端に「1」や「N(*)」といった記号で表記されます。次に「顧客」と「注文」というエンティティを考えた簡単なE-R図の例を示します。エンティティ「顧客」は「顧客ID」、「名前」、「住所」という属性を持ち、エンティティ「注文」には「注文ID」、「日付」、「額」といった属性が含まれます。リレーションシップは「顧客」と「注文」を結び、「1:N」のカーディナリティが記載されます。このようなE-R図を用いることで、複雑なデータベースの設計が視覚的に理解しやすくなります。