CMM

更新日:2024年10月20日

CMM (能力成熟度モデル) について

CMM (Capability Maturity Model) は、組織のプロセス改善を体系的に進めるための枠組みを提供するモデルであり、主にソフトウェア開発とITサービスを中心に適用され、その後継となるCMMI (Capability Maturity Model Integration) も広く使われています。1986年にアメリカ国防総省がソフトウェア産業の品質改善を目的として始めた取り組みを起点に、カーネギーメロン大学のソフトウェア工学研究所 (SEI: Software Engineering Institute) が発展させました。CMMは組織のプロセス能力を5つの成熟度レベル (Maturity Levels) で評価し、現状を理解し、プロセス改善の具体的なステップを明示します。レベル1は無秩序で個々の人材に依存し、不安定でプロジェクトの成功が偶発的です。レベル2ではプロセスがプロジェクト単位で管理され、要求、スケジュール、予算の管理が行き届きます。レベル3では組織全体で訂正され、ドキュメント化された標準プロセスが全てのプロジェクトで適用されます。レベル4ではパフォーマンスを定量的に管理するメトリクスが導入され、リスク管理が効果的に行われます。最終的に、レベル5では継続的なプロセス改善が組織文化となり、新技術とベストプラクティスが積極的に取り入れられます。

CMMのメリットと課題

CMMのメリットとして、高い予測可能性が挙げられ、組織のプロセス能力を評価し次のステップを示すことでプロジェクトの成功率が向上します。さらに、標準化されたプロセスの適用により品質が向上し、一貫した高品質の成果物が生産できます。プロセスの効率化によりコスト削減も見込まれ、リスク管理も定量的なデータに基づくため効果的です。一方で課題もあり、初期コストが高く短期的には投資が必要です。新プロセス導入時に組織内部での抵抗があり変革管理が求められます。また、定量的なデータの収集と管理が必要となり、適切なツールと技術の導入が必須です。継続的なプロセス改善を組織文化として維持するためには、強いコミットメントも求められます。

CMMの適用領域と成功事例

CMMはソフトウェア開発プロジェクトだけでなく、システムエンジニアリング、ITサービス管理、製造業など他のドメインにも広く適用可能です。例えば、カーネギーメロン大学のSEIが1990年代に行った調査によると、CMMを導入した組織では大きな成果が報告されています。IBMはCMM導入後プロジェクトの成功率が劇的に改善され、ボーイングはCMMのレベル4達成によりシステムのデリバリー品質と時間が大幅に改善しました。また、モトローラはCMM導入によって欠陥密度が大幅に低下し、顧客満足度の向上を達成しました。さらに、CMMの後継モデルであるCMMIはプロセス管理、プロジェクト管理、エンジニアリング、サポートプロセスなどに対する一貫した評価基準を提供するため、より多くの分野での適用が可能です。このように、CMMとCMMIは組織のプロセス改善のための強力なツールとして多くの組織で品質向上と効率改善のために広く導入されています。