PMBOK

更新日:2024年10月20日

PMBOKとは

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、プロジェクト管理の分野で広く知られ、活用されているガイドラインおよびベストプラクティスの集大成であり、プロジェクトマネジメント協会(PMI: Project Management Institute)によって策定されています。このガイドは国際的に認められた標準規格として、プロジェクト管理の分野で効率的かつ効果的な方法を提供し、プロジェクトの成功を支援するための重要なツールです。PMBOKガイドの初版は1996年に発行され、その後も数回にわたり改訂が続けられ、最新の第7版は2021年に発行されました。これにより、変化するビジネス環境や技術の進化、新たなプロジェクト管理の手法にも対応できるようになっています。PMBOKガイドは大きく2つの部分に分かれ、プロジェクトマネジメントの基本概念とフレームワークの説明、そして具体的なプロジェクトマネジメントのプロセス群と知識エリアに関する詳細が記載されています。プロジェクト管理の知識を10の知識エリア(Knowledge Areas)に分類し、それぞれの知識エリアはプロジェクトの成功に向けた要素をカバーしています。これらの知識エリアには統合マネジメント、スコープマネジメント、スケジュールマネジメント、コストマネジメント、品質マネジメント、リソースマネジメント、コミュニケーションマネジメント、リスクマネジメント、調達マネジメント、ステークホルダーマネジメントが含まれ、各エリアがプロジェクト全体の管理や各フェーズにおける具体的な対応を提供しています。

知識エリアとプロセス群

例えば、統合マネジメントはプロジェクトの計画、実行、監視、制御、終了を統合的に管理し全体像を見渡してコーディネーションを行います。スコープマネジメントではプロジェクトの範囲を定義し、必要な成果物を確実に作成するためのプロセス管理を行いますし、スケジュールマネジメントはプロジェクトのタイムラインを策定し、スケジュール遵守のためのアクティビティを管理します。さらにコストマネジメントではプロジェクトの予算を設定、計画、見積もり、予算編成、費用管理を行います。品質マネジメントは成果物の品質を確保し、継続的な改善を図り、リソースマネジメントは必要な資源(人的資源、物的資源)を計画し確保、管理します。コミュニケーションマネジメントは情報の生成、伝達、保管、廃棄を管理して関係者間の効果的なコミュニケーションを確保し、リスクマネジメントはリスクを特定し分析、対応計画を策定して管理を行います。調達マネジメントでは外部からの資源調達を計画、管理し契約の管理を行い、ステークホルダーマネジメントは関与する全ステークホルダーを特定し期待を管理、満足度を高めるプロセスを実施します。PMBOKガイドはさらにプロジェクト管理のプロセスを5つのプロセス群(Process Groups)に分けています。これらは立ち上げプロセス群、計画プロセス群、実行プロセス群、監視・コントロールプロセス群、終結プロセス群で、各プロセス群はプロジェクトの異なるフェーズで行われる活動をまとめたものです。立ち上げプロセス群ではプロジェクトやフェーズの正式な開始を承認し、関係者を識別して目標を定義します。計画プロセス群では全体計画を策定し、詳細な計画を作成します。実行プロセス群は計画に基づいてプロジェクトを実行し成果物を生成、提供します。監視・コントロールプロセス群は進行状況を測定、追跡し計画からの逸脱を修正します。終結プロセス群ではプロジェクトやフェーズを正式に終了し、最終成果物を納品、評価を行います。

実務への適用

PMBOKガイドは単なる理論や方法論にとどまらず、具体的な実務に適用できるよう設計されています。例えばプロジェクト立ち上げ時には新規プロジェクトの提案があればプロジェクト憲章を作成し、ステークホルダーを特定します。計画の策定ではプロジェクトのスコープを明確にし、スケジュールや予算、リスクなどを詳細に計画します。実行段階ではチーム編成やリソース配分を行い計画に基づいた作業を実行します。監視・コントロールでは進行状況を定期的にレビューし計画修正が必要な場合は対応策を講じます。最終的にプロジェクトの終結では成果物の納品や全ての契約やドキュメントを整理してプロジェクトをクローズします。結びとしてPMBOKガイドはプロジェクト管理において一貫性と予測可能性を高め、成功率を向上させるための重要な手法と知識を提供します。ビジネスや経営情報システムにおいてPMBOKのフレームワークを適用することでプロジェクトの透明性を高めリスクを管理し成功に導くことが可能です。プロジェクトの複雑さが増す現代においてもPMBOKガイドは依然としてその有効性を持つ価値ある標準です。そのため、PMBOKガイドの知識を持つことは、プロジェクト管理の分野で競争力を保つために非常に重要です。