スタイルシート (CSS)

更新日:2024年11月01日

CSSの定義と目的、歴史と進化、基本的な構造

CSS(Cascading Style Sheets)はウェブページの見栄えをコントロールするためのスタイル表記言語です。HTMLやXMLといったドキュメントの構造を定義する言語に対して、CSSはその表示方法を指定します。例えば、フォントの種類、色、レイアウトなど、見た目に関する部分を管理できます。これにより、ウェブページのデザインとコンテンツを分離し、効率的な管理と保持を可能にします。CSSは1996年にW3C(World Wide Web Consortium)が初版を策定しました。その後、CSS2、CSS2.1と改訂が行われ、今日ではCSS3として知られる最新版が導入されています。CSS3では、アニメーションやトランジション、グラデーションなど、多様な視覚効果を簡単に実装できるようになりました。CSSの記述はセレクタとプロパティ、値の組み合わせで構成されています。セレクタによって、どのHTML要素にスタイルを適用するかを指定し、プロパティによって具体的なスタイルを定義します。

CSSセレクタの種類と適用方法、カスケードと継承

CSSでは様々なセレクタが使用できます。タグセレクタはHTMLのタグ名を利用して要素を選択し、クラスセレクタは特定のクラスに属する要素、IDセレクタは特定のIDを持つ要素を選択します。また、属性セレクタは特定の属性を持つ要素を選び、擬似クラスセレクタは要素の状態に基づいて要素を選択します。CSSは主に三つの方法で適用されます。外部スタイルシートはCSSコードを別ファイルに分けてHTMLからリンクし、大規模プロジェクトでの再利用性が高いです。内部スタイルはHTMLドキュメント内の`<style>`タグを利用して特定のページにスタイルを適用します。インラインスタイルはHTML要素の`style`属性を利用して直接スタイルを適用しますが、管理が煩雑になるため、推奨されません。CSSでは「カスケード」の優先順位ルールがあります。同じ要素に対して複数のスタイルが適用された場合、スタイルの適用順序やセレクタの特異性によって最終的にどのスタイルが適用されるかが決まります。IDセレクタが最も強く、クラスセレクタ、タグセレクタの順に弱くなります。また、同じ特異性のセレクタが競合した場合、後から定義されたものが優先されます。CSSの一部のプロパティは「継承」され、親要素から子要素に継承されます。例えば、文字の色やフォントはその例です。

CSS3の新機能とCSSプリプロセッサ、現代のCSSフレームワーク

CSS3になってから新機能が多く追加され、表現力が飛躍的に向上しました。トランジションはプロパティの変化にアニメーション効果を適用でき、アニメーションはキーインフレームを使用して複雑なアニメーションを作成できます。フレキシブルボックスレイアウト(Flexbox)とグリッドレイアウトは複雑なレイアウトを簡単に構築し、格子状に配置することができます。メディアクエリを利用するとデバイスの特徴に応じてスタイルを変更でき、レスポンシブデザインを実現します。SASSやLESSはCSSのプリプロセッサで、CSSの機能を拡張し、より効率的なコーディングが可能です。SASSは主にRubyと連携して使用され、LESSは主にJavaScriptと連携して使用されます。これにより変数やネスト、ミックスインなどの機能が使用でき、コードの管理や再利用性が向上します。CSSのコーディングをさらに効率化するために、多くのCSSフレームワークが開発されています。有名なものにはBootstrap、Foundation、Tailwind CSSがあります。これらのフレームワークを利用することで、多くのコンポーネントやグリッドシステムを簡単に使用でき、レスポンシブデザインも容易に実現できます。CSSはウェブデザインにおいて不可欠な技術であり、その進化と共に表現力も増しています。CSSを理解し適切に使いこなすことでウェブサイトのユーザエクスペリエンスを大幅に向上させることができ、SASSやLESS、Bootstrapなどのフレームワークやツールの活用により効率的な開発が可能です。CSSの未来は、より高度な視覚効果やインタラクティブな要素を簡単に導入できるような方向へ進化し続けるでしょう。