PTS(規定時間標準)法

更新日:2024年11月10日

作業の標準時間設定と効率改善

PTS(Predetermined Time Standard、規定時間標準)は、生産性や効率の改善を目的とする方法の一つで、職場での業務や作業の標準時間を事前に定める手法です。この方法では、各作業の動作を小さな要素に分解し、それらに基づいて標準時間を設定します。これには、動作の種類、移動距離、重量物の取り扱いなどが含まれます。主な目的は、以下のような点にあります。作業の標準化: 標準時間を設定することで、作業が一貫して行われるようになり、品質の向上を図る。生産性の向上: 非効率な動作や時間の無駄を排除し、生産性を最大化する。コスト管理: 作業時間が明確に見積もれるため、コストの予測や管理が容易になる。公正な労働評価: 作業標準が明確に示されるため、公正な評価が可能になり、適正な賃金やインセンティブを提供できる。代表的なPTSシステムとして、MTM(Methods-Time Measurement):各動作の標準時間を定めるための一つの基準で、1920年代に開発され、世界中で利用されています。WF(Work-Factor):1950年代に開発された、異なる作業動作と時間を評価するシステム。MOST(Maynard Operation Sequence Technique):MTMに比べて、より効率的で迅速な評価を可能にするシステムがあります。この手法は、特に製造業や物流業など、規定された手順で作業を進める業種で効果を発揮します。コンサルタントや管理者にとっては、タイムスタディや動作経済の基礎知識を持っていることが求められます。

PTSシステムのステップと適用

PTSシステムのステップには、動作の分解:作業を最小単位に分解(例:手を伸ばす、物を持ち上げる)、各動作の計測:各動作に対する標準時間を計測、作業の組み立て:各動作の時間を合計して全体の作業時間を算出、評価と改善:作業フローを分析し、必要に応じて改善策を導入する、があります。PTSの手法は、特に製造業や物流業など、規定された手順で作業を進める業種で効果を発揮します。例えば、生産ラインにおいて動作を細かく分解し、それぞれの動作ごとの標準時間を設定することで、全体の生産工程の効率を大幅に向上させることができます。これにより、製造コストの低減や製品の品質向上が期待できます。また、物流センターでは、商品のピッキングや梱包作業などでPTSを適用することで、作業姿勢や動作を最適化し、従業員の疲労軽減や作業効率の向上を図ることが可能です。

効果的なPTSの活用方法

更に、PTSシステムを効果的に活用するためには、職場全体での理解と協力が欠かせません。従業員に対してPTSの目的や方法を説明し、その重要性を認識してもらうことで、協力体制が整い、スムーズな導入と運用が可能となります。また、管理者やコンサルタントは、PTSを活用したタイムスタディや動作分析のスキルを磨き、継続的な改善活動を推進していくことが求められます。さらに、新しい技術やツールを活用することで、PTSの精度や効率を向上させることも重要です。例えば、デジタルツールやソフトウェアを活用することで、動作分析や標準時間の設定がより迅速かつ正確に行えるようになります。これにより、PTSの適用範囲が広がり、より多くの業務や作業に対して効果的に活用することが可能となります。また、従業員のフィードバックを収集し、彼らの意見や提案を取り入れることで、実際の作業現場に即したPTSの改善が図られます。こうした取り組みによって、持続的な業務改善と効率向上が実現し、組織全体の生産性向上に寄与することができます。