- トップページ
- セカンドブランド
更新日:2024年09月10日
セカンドブランド(Second Brand)とは、企業が既に持っている主要なブランド(プライマリーブランド)とは別に、異なる市場セグメントや顧客層をターゲットに設立するブランドを指します。セカンドブランドは、多様な顧客ニーズに応えるためや、異なる価格帯、市場、製品カテゴリーに対応するための戦略的な手法として用いられます。セカンドブランドの主な目的は、まず新しい顧客層や市場セグメントにアプローチし、市場シェアを広げることです。例えば、プライマリーブランドがリーチできない市場に参入することで、市場の拡大と多角化を図ります。さらに、異なる価格帯の市場に対応するためにセカンドブランドを立ち上げることもあり、既存ブランドが高価格帯である場合、価格志向の顧客向けに低価格ブランドを展開します。ブランドイメージを保護するために、既存ブランドのイメージを損なわないよう新しいブランド名を用いることもあります。こうすることで、製品ラインの多様化や異なるマーケティング戦略を実施できます。また、一つのブランドに依存するリスクを避けるため、複数のブランドを展開してリスクを分散させるという考えもあります。
セカンドブランドには様々な種類があります。まず、低価格ブランドは主要ブランドの商品よりも低価格で提供され、コストパフォーマンスを重視する消費者に向けられます。例えば、ユニクロのプライマリーブランドに対して、ジーンズメイトのような低価格ブランドがあります。一方で、高価格ブランドも存在し、主要ブランドの商品より高価格で提供され、より高品質でプレミアムな製品を求める消費者にターゲットを絞ります。トヨタのプライマリーブランドに対してレクサス(Lexus)がその例です。さらに、地理的や文化的な違いを考慮して異なる市場向けに展開されるブランドもあります。例えば、Nestleにはインド市場向けブランドとヨーロッパ市場向けブランドがあり、異なる市場セグメントに対応しています。異なる製品ライン向けのブランドも存在し、異なる製品カテゴリーに対応するために展開されます。Nike(スポーツウェア)とConverse(カジュアルシューズ)もその一例です。成功するセカンドブランドには、市場調査とターゲティングが重要であり、ターゲット市場を明確に理解しなければなりません。また、明確なブランドポジショニングと差別化が図られることで消費者に価値を提供できます。ターゲット市場に合ったマーケティング戦略を展開することも求められ、広告、プロモーション、PRなどを効果的に活用し、ブランド認知を高める必要があります。さらに、品質の一貫性も重要で、低価格ブランドであっても品質が低ければ消費者の信頼を失うリスクがあります。
セカンドブランド導入には課題もあります。まず、ブランドカニバリゼーション(ブランドの共食い)というリスクがあり、同じ企業内で異なるブランドが競合する恐れがあります。これは、製品が重複し、同じ市場セグメントや価格帯をターゲットにした場合に発生します。資源の分散も課題で、複数のブランドを管理するためのリソースが必要となり、マーケティング、人材、運営などの資源が分散されることで効率が低下する可能性があります。また、ブランドイメージの混乱もリスクであり、消費者がブランドを混同する恐れがあります。セカンドブランドが成功するためには、これらのリスクを管理しつつ、市場に明確な価値を提供することが重要です。成功事例としては、1989年にトヨタが立ち上げた高級車ブランドレクサス(Lexus)が挙げられます。トヨタの品質と信頼性を保持しつつ高級車市場でのプレゼンスを確立しています。同様に、ペプシコのミント(Mentos)は手軽に摂取できるミント菓子として成功を収めています。また、ナビスコのオレオ(Oreo)はクッキー市場で幅広いニーズに応え、多様なフレーバーや包装で消費者に支持されています。結論として、セカンドブランドは企業が市場シェアを拡大し、多様な顧客ニーズに応えるための有効な戦略と言えます。しかし、導入には慎重な市場分析、明確なブランドポジショニング、適切なマーケティングと品質管理が求められます。成功するためにはリスクを管理しつつ、消費者に明確な価値を提供することが重要です。