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更新日:2024年09月10日
PERT(Program Evaluation and Review Technique: プログラム評価・レビュー技法)は、1950年代にアメリカ海軍がポラリス・ミサイル開発プロジェクトのために考案したプロジェクト管理手法の一つです。特に、プロジェクトの計画および進行状況の追跡に活用され、複雑なプロジェクトのスケジュールを計算・管理するために用いられます。PERTは、プロジェクトの全体像を視覚的に表現し、その進捗を管理するためのツールです。目的としては、計画とスケジュールの策定、リスク管理、プロジェクトの進行状況の追跡、そして意思決定のサポートが挙げられます。まず、計画とスケジュールの策定では、各タスクを明確にし、依存関係や順序を理解することで、総合的なプロジェクトスケジュールを体系的に策定できます。次に、リスク管理として、タスクの所要時間の不確実性を含むプロジェクト管理に対応しており、リスクを評価して対策を講じることが可能です。進捗状況の追跡についても、リアルタイムでの監視が可能で、遅延が発生した場合には迅速に対応できます。最後に、意思決定のサポートでは、PERTがクリティカルパス(最も時間がかかる経路)を明示するため、重要な意思決定をサポートします。
PERTは、アクティビティ、イベント、アクティビティの時間見積もりの基本要素から構成されています。アクティビティは、プロジェクトの各実行タスクで矢印で表現されます。イベントは、アクティビティの開始や終了を表すマイルストーンでノードや円で表現されます。時間見積もりでは、楽観見積もり時間(O)、悲観見積もり時間(P)、期待見積もり時間(M)の3種類の時間を基にし、加重平均をとって予測時間(TE)を算出します。このようにして、PERTチャートの作成手順が進められます。まず、プロジェクト内のすべてのタスクを洗い出し、各タスクの依存関係を明らかにします。次に、タスクの相互関係を決定し、時間見積もりを作成します。最後に、ノード(イベント)と矢印(アクティビティ)を用いて、プロジェクトのフローを視覚化し、クリティカルパスを特定します。このパス上のどのタスクも遅延すると、プロジェクト全体が遅れることになります。PERTとクリティカルパス法は、タスクの順序と依存関係を明らかにし、それに基づいて重要な管理手法を提供します。PERTは主に研究開発プロジェクトなど変動が多いプロジェクトに適し、CPMは建設プロジェクトのような所要時間が確定している場合に適しています。
PERTは、建設業、情報技術(IT)、製造業などさまざまな業界で利用されています。例えば、大規模な建築プロジェクトでは計画策定と進行管理に、ソフトウェア開発プロジェクトではスケジュール管理に、新製品導入プロセスの管理にも使われています。このように多岐にわたる適用例があるものの、利用する際の注意点もいくつかあります。まず、時間見積もりデータの正確さです。データが不正確であると、全体の計画が大きく狂う可能性があります。また、大規模で複雑なプロジェクトにおけるPERTチャートは、管理が難しくなる可能性もあります。プロジェクトの進行に伴い、現実のデータと計画の差異を調整するために、PERTチャートは定期的に見直す必要があります。以上を踏まえ、PERTは複雑なプロジェクトを体系的に管理するための強力なツールです。プロジェクトの各タスクの依存関係やスケジュールを明確にし、効率的なプロジェクト管理を可能にします。リスク管理や最適な意思決定を支援する手法を持ちますが、データの正確性と継続的な見直しが重要なため、慎重な運用が求められます。