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更新日:2024年10月20日
MTBF(Mean Time Between Failures)は、システムや機器の信頼性を評価するための重要な指標の一つであり、日本語では「平均故障間隔」と訳されます。この指標は、コンピュータシステム、通信機器、製造装置など、広範囲な産業分野で利用され、製品やシステムの設計から運用、保守に至るまで多岐にわたる場面で重要な役割を果たします。MTBFは、システムや機器が正常に運転している時間の平均を示し、この値は故障から故障までの平均時間を計算することで得られます。具体的には、一定期間内に発生した故障の件数とその期間中の総運転時間を基に計算されます。例えば、100時間の運転時間の間に5回の故障が発生した場合、MTBFは20時間となります。
MTBFは多岐にわたる用途で利用されます。設計と開発では、部品の選定やシステムアーキテクチャの決定に役立ち、高い信頼性を求めるためにMTBFの長い部品やシステムを選ぶ必要があります。品質管理でもMTBFを測定することで、リコールや顧客不満の原因となる早期故障を検出できます。運用中のシステムや機器については、MTBFを基に適切な保守計画を立てることが可能であり、MTBFが短い場合には予防保守をより頻繁に行うことで完全な故障を避けることができます。MTBFは他の信頼性指標とも併せて用いられ、例えばMTTR(Mean Time To Repair)は故障から修復までにかかる平均時間を示す指標で、MTBFとMTTRを組み合わせることでシステムの稼働率を算出できます。MTTF(Mean Time To Failure)は一度故障すると修理せずに交換されるような状況に特化した指標であり、主に修理不可能なシステムや部品に適用されます。MTBFはシステムや機器の稼働率に直接影響を与え、高い稼働率を求める業界では、MTBFの長さが競争力に直結します。例えば、データセンターではサーバーやネットワーク機器の高い稼働率が求められ、MTBFが長ければシステムダウンの頻度を減らし、サービスの継続運用が容易になります。
MTBFの計算にはいくつかの課題が存在します。機器やシステムの故障率は時間とともに変化し、新しいシステムは初期故障期があり、その後安定稼働期、最後に摩耗故障期に入るため、どの時点でのデータを使用するかが重要です。また、MTBFの値には通常システム自体の故障のみが含まれますが、現実にはヒューマンエラーも故障原因となることが多く、これをどう扱うかによってMTBFの値が大きく変わります。さらに、MTBFの計算には故障履歴や運転時間の正確なデータが必要で、データの収集方法や管理体制が不十分だと正確なMTBFを算出することは困難です。MTBFを理解し、その値を高めることでシステムの稼働率や全体の効率性を向上させることができます。しかし、初期故障期やヒューマンエラー、データの正確性といった要因が存在するため、単純にMTBFの値を計算するだけでなく、総合的な信頼性評価が求められます。企業は製品やサービスの品質向上のみならず、その結果としての競争力の維持・向上も図ることが可能です。MTBFは単なる数値ではなく、信頼性の高いシステムを設計・運用するための指針となるべきものです。