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更新日:2024年11月20日
もちろん、KJ法について詳細に説明いたします。KJ法は、日本の文化人類学者である川喜田二郎(Jiro Kawakita)によって開発された問題解決およびアイデア生成のための手法であり、その最も顕著な特徴は情報の視覚的な整理とグループ作業の融合にあります。1960年代に開発され、当初は文化人類学の分野で使用されましたが、その後ビジネス、教育、社会問題の解決など多岐にわたる分野で広く活用されています。KJ法(Kawakita Jiro Method、または川喜田二郎法とも呼ばれる)は、アイデアや情報をカードに書き出して視覚的に整理し、グループで議論しながら問題解決や新しい発想を得る方法です。主な目的としては、大量の情報を整理して重要なパターンや関係性を見つけ出すこと、新しいアイデアや解決策を生み出すこと、そしてグループ内での共通理解を深めることが挙げられます。具体的な手順としては、まずフィールドワークやインタビュー、アンケート調査などで情報を収集し、それをカードに書き出します。次に、カードをグループで直感的にグループ化し、さらに関連性や共通点を探り、全体のパターンやトレンドを把握します。最後に、各カードグループにタイトルを付け、図解化(マッピング)によって視覚的に整理し、次の行動計画や戦略の立案に役立てます。
KJ法の手順について、まずステップ1として情報の収集があります。この段階では対象となる問題やテーマに関する情報をカード(通常はポストイットなど)に一つずつ書き出します。この段階では情報量を多くすることが重要で、細かい分類や整理はまだ行いません。続いてステップ2では、カードをテーブルや壁に広げ、全体を見渡しながら似ているものや関連性のあるものをグループ化します。この作業はグループで行うことが一般的で、各メンバーの視点や意見を反映させながら進行します。ポイントとしては、直感的に関連性を感じるものを一緒にすること、そして再配置や再分類に柔軟性を持つことが重要です。ステップ3では、グループ化されたカード群の間にどのような関連性があるかを見つけ出し、更に具体的なテーマや問題解決の方向性を見つけます。ステップ4では、各カードグループに対して代表的なタイトルを付けます。これにより、抽象的なアイデアや情報が具体的な形で整理され、全体像が見やすくなります。最後のステップ5では、得られたグループやタイトルを基に図解化します。マップを作成することでグループ間の関係性が視覚的に理解しやすくなり、次の行動計画や戦略の立案に役立ちます。中心テーマを元に関連情報を配置し、関係性を示す線や矢印を用いて情報の流れや因果関係を示します。
KJ法の応用例としては、たとえばビジネス戦略の策定があります。企業が新しい市場に進出する際や新商品を開発する際に、関連情報を整理し戦略を立てるために使用されます。消費者ニーズや競合他社の情報をカードに書き出し、グループ化して市場動向を分析することが可能です。また、プロジェクトの問題解決にもKJ法は有効です。プロジェクトが停滞している場合、その原因や解決策を探るためにプロジェクトメンバーが集まり、問題点をカードに書き出し、グループ化して原因と解決策を見つけます。教育や研究における知識の整理にも利用され、学生が学んだ内容を整理し、全体像を把握するための手段として使用されます。また、大量のデータや文献情報を整理して新しい視点や仮説を提案するために用いることも可能です。さらに社会問題の解決にもKJ法は効果的であり、地域コミュニティの課題解決に関するワークショップで参加者の意見や提案を整理するために利用されます。KJ法のメリットには、視覚的に情報を整理でき全体像を把握しやすい点、複数のメンバーの意見や視点を取り入れて多角的でクリエイティブな解決策を得られる点、そしてどんなテーマや問題にも適用可能である点が挙げられます。一方でデメリットとしては、情報収集と整理に時間と労力がかかる点、グループ作業には主観が入りやすく客観性が損なわれる可能性がある点、進行役のスキルや経験が重要となる点が挙げられます。まとめとして、KJ法は情報の整理と新しいアイデアの創出に非常に有効な手法であり、特に複雑な問題や多くの関係者が関わるプロジェクトでその効果を発揮しますが、実施には時間と労力がかかるため目的や状況に応じて適切に活用することが重要です。